
モータ性能用語を基礎から徹底解説! 【性能表の見方がわかる】
この記事では、特によく使用されるモータ性能用語について解説します。
搭載製品の用途や特徴に合わせて最適なモータを選ぶためには、性能に関する基礎知識を正しく理解することが不可欠です。
ここでは、性能表を実際に見ながら、各用語のポイントを詳しく確認していきましょう。
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- 1.モータ性能用語の基本
- 1.1.トルク [ Nm ]
- 1.2.回転数 [ r/min, rpm ]
- 1.3.出力 [ W ]
- 2.性能表を見ながら解説
- 3.よくある質問
- 3.1.Q. 使用電圧の範囲内なら、定格電圧の値を超えて使い続けても大丈夫なのか。
- 3.2.Q.瞬時最大出力や瞬時最大トルクはどのような使用状況で考慮すべきか。
- 3.3.Q. 性能線図の見方を知りたい。
- 4.まとめ
モータ性能用語の基本
まずは、モータの性能を理解する上で基本となる、「トルク」、「回転数」、「出力」について解説します。
これらは頻繫に登場する用語なので、しっかりと押さえておきましょう。
トルク [ Nm ]
モータの回転力を示し、「ねじりモーメント」とも呼ばれます。
単位はNm(ニュートンメートル)、記号はTで表されます。
トルクは電圧のほぼ2乗に比例するため、電圧を増加させるとモータのトルクも増加します。
回転数 [ r/min, rpm ]
モータのシャフトが1分間に回る回数を指します。
単位はr/min または rpm(回転毎分)で表されることが一般的ですが、場合によってはr/sec, rps(回転毎秒)と記載されることもあります。なお、記号はNで表されます。
回転数も電圧と比例関係にあり、電圧を増加させるとモータの回転数が増加します。
出力 [ W ]
1秒当たりの仕事量を指し、「動力」とも呼ばれます。
単位はW(ワット)、記号はPで表されます。
出力はトルクと回転数の積に比例し、次の計算式で表されます。
出力 P [ W ] = 2π × トルク T [ Nm ] × 回転数 N [ r/min ] ÷ 60
また、モータに入力した電気エネルギーをどの程度の割合で機械エネルギーとして出力できたかを「効率(単位:% / 記号:η)」と呼びます。
性能表を見ながら解説
ここからは、実際に当社のブラシレスモータ「MS-94BZA」の性能表を見ながら、それぞれの性能用語について確認していきましょう。
T-N特性図の見方を理解できれば、「必要な出力を満たすためには、どれぐらいの電圧・電流でモータを動かせばよいのか」がわかるようになります。
性能表 |
用語解説 |
|
瞬時最大出力 |
342W(最大10秒) |
瞬間的に発揮できる最大の出力。 |
瞬時最大トルク |
17.2Nm(最大10秒) |
瞬間的に発生できる最大のトルク。 |
定格電圧 |
24V |
連続的かつ安全に運転するために推奨される電圧。 |
定格出力 |
202W |
連続的かつ安全に発揮できる機械的な出力。 |
定格トルク |
8.6Nm |
連続的かつ安全に発生できるトルク。 |
定格回転数 |
225r/min |
定格電圧と定格負荷の条件下で、連続的かつ安定して回転する速度。 |
使用電圧 |
15-55V |
モータを使用する際に加える電圧を指します。モータに加えることができる電圧範囲は設計によって決められており、この範囲を超える電圧を印加することはできない。 |
サイズ |
85.0mm×85.0mm×長さ:84.5mm |
モータの外形寸法 |
重量 |
2.2kg |
モータの重量 |
減速比 |
10.33 |
ギヤ(減速機)がモータの出力回転数を減らし、トルクを増加させる比率。通常、この比率は「入力回転数 ÷ 出力回転数」で計算され、1より大きい値となる。 |
許容ラジアル 耐荷重 |
700N |
モータ軸に対して垂直方向(ラジアル方向)に加えることができる最大荷重。 |
許容負荷 イナーシャ |
0.6kg・m2以下 |
モータ軸に接続される負荷側の慣性モーメントのうち、モータが安全かつ安定的に駆動・停止・制御できる最大値。 |
絶縁耐圧 |
AC 500V 1分間 |
モータの部品や材料が耐えられる最大電圧を示す指標。 |
絶縁抵抗 |
10MΩ以上(DC 500V) |
モータの部品や材料の絶縁性能を表す指標。 |
防水性能 |
IPX4 |
外部からの水の侵入に対する保護能力を示す等級。国際規格IP(Ingress Protection)コードによって等級分けされ、「IPX4」はあらゆる方向からの水の飛沫を受けても、モータの正常な動作に有害な影響を及ぼさないことを示す。 |
よくある質問
ここでは、モータの性能用語に関するよくある質問にお答えします。用語の理解や解釈を誤ると、製品の故障やトラブルの原因になることもあるため注意が必要です。
Q. 使用電圧の範囲内なら、定格電圧の値を超えて使い続けても大丈夫なのか。
A. 使用電圧の範囲内であれば使用可能ですが、モータは定格電圧での使用を前提として設計されており、連続的かつ安全に動作させるには定格電圧での使用を推奨します。
Q.瞬時最大出力や瞬時最大トルクはどのような使用状況で考慮すべきか。
A. 瞬間的に重量物を持ち上げたり、急加速したりする場合や、起動時に大きなトルクが必要な場合に重要です。起動時のトルク不足は、機器の立ち上がり遅延の原因となるため、瞬時最大トルクは忘れずにチェックしましょう。
Q. 性能線図の見方を知りたい。
A. 性能線図は、モータの特性を視覚的に把握するための重要なツールです。詳細は、以下の記事で解説していますので、本記事と併せてモータ選定にお役立てください。
モータの性能線図とT-N特性図の見方を解説
まとめ
本記事では、モータ性能用語について基礎的な解説を行い、さらに性能表を参照しながら具体的な内容を説明しました。これらの用語を正しく理解することが、用途に適したモータを選定するための第一歩です。
マブチモーターでは、多様な用途に対応するブラシレスモータのラインナップを取り揃えています。それぞれの製品の性能表をご確認いただき、皆様のものづくりに最適なモータをご活用ください。
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