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産業用ロボットとは? 主な種類や構造を解説

ここ数年で、産業用ロボット市場は大きく拡大しています。日本国内では、工場における人手不足の解消や、品質の向上につながることから、様々な企業が産業用ロボットの導入を進めています。これから導入を検討している企業様の中には、ロボットの構造や種類について知りたいという方も多いのではないでしょうか。


本記事では、産業用ロボットの種類から構造まで、基礎知識を解説します。


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  1. 1.産業用ロボットとは
  2. 2.産業用ロボットの主な種類
    1. 2.1.垂直多関節ロボット
    2. 2.2.水平多関節ロボット
    3. 2.3.パラレルリンクロボット
    4. 2.4.直交ロボット
  3. 3.産業用ロボットの構造
  4. 4.産業用ロボットに用いるモータの種類
  5. 5.まとめ


産業用ロボットとは

産業用ロボットは、工場で必要な加工や組み立て、洗浄等の作業を、人間の代わりに行います。各工程の自動化により作業を効率化し、人手不足解消やコスト削減に貢献します。

産業用ロボットは、既に自動車や半導体、食品等の多様な業界で導入されており、今後もより一層普及が進むと予想されています。

なお、産業用ロボットとは別に、サービスロボットと呼ばれるロボットもあります。それぞれの違いは以下のとおりです。


▼産業用ロボットとサービスロボットの違い


産業用ロボット

サービスロボット

目的

人間の作業の代替

人間の作業や動作の支援

用途

搬送用ロボット

  溶接用ロボット 等

医療用ロボット

  掃除用ロボット 等


産業における自動化に用いるものが産業用ロボット、日常生活の支援をはじめ、産業の自動化以外で用いるものがサービスロボットと考えると、わかりやすいかもしれません。



産業用ロボットの主な種類

産業用ロボットは、駆動系とアーム系の2系統に大きく分けられます。
用途に応じて様々な種類がありますが、ここでは工場の効率化に欠かせない4種類の産業用ロボットの特徴と用途を紹介します。

なお、マブチモーターでは、以下で紹介するロボットの、いずれの種類にも活用できるモータを提供しています。


垂直多関節ロボット

垂直多関節ロボットは、人間の腕のような形状であることからアームロボットとも呼ばれ、動作の自由度が高いのが特長です。

人の手とほぼ同様の動きが再現でき、製品の梱包作業や溶接・塗装等の工程に役立てられています。一般的に4〜7つの軸を持ち、特に6軸機構が主流となっています。

汎用性の高さから、産業用ロボットの中でも数多くの場面で活用されています。


水平多関節ロボット

水平多関節ロボットは、文字通り水平方向の動きに特化した産業用ロボットです。
英語表記の“Selective Compliance Assembly Robot Arm”の頭文字をとって“SCARAロボット”“スカラロボット”とも呼ばれます。

4軸機構で先端部が上下に動く仕組みとなっていることから、部品の押し込みや組み立てといった、上下作業を得意としています。


パラレルリンクロボット

パラレルリンクロボットは、パラレルリンクメカニズム(系列に構成された複数のアームによって一点を制御する機構)を用いた産業用ロボットです。
高速かつ精密な動作を得意とし、ベルトコンベアに流れてくる製品の整列や充填、包装、箱詰め等の作業で活用されています。

また、複数モータの出力を一点に集中できるため、多関節の産業用ロボットでは難しいとされているプレス加工にも対応可能です。


直交ロボット

直交ロボットは、複数の単軸直動ロボットを組み合わせた、シンプルな産業用ロボットです。
直線的な動きのみに限定される一方で、ブレの少ない高精度な作業を得意としています。

用途に応じて軸数を増やせるため、設計の自由度が高いのが特長です。垂直多関節ロボットや水平多関節ロボット等の多関節ロボットと組み合わせることで、製品の搬送のような多少複雑な動作にも対応可能です。



産業用ロボットの構造

産業用ロボットのアーム部分の基本的な構造は人間と同じです。例えるならば、骨が“リンク”、関節が“ジョイント”となります。

一般的な産業用ロボットは、“マニピュレータ”と呼ばれるアームと“制御ボックス”、プログラムの操作や調整に使う“ティーチングペンダント”の3つで構成されています。


▼産業用ロボットを構成する3つの組織

組織
特徴

マニピュレータ

ロボットの本体部分
多関節構造とサーボモータによって動作する
関節の数に応じて可動範囲が変化する

制御ボックス

サーボモータの動きを制御するサーボアンプや基板等を格納した制御装置
マニピュレータの動きを制御する役割がある

ティーチングペンダント

マニピュレータにおける動作内容(ティーチングデータ)を設定する
ティーチングデータの新規作成や変更ができる


なお、ロボットのリンクは、直列つなぎのシリアルリンク、並列つなぎのパラレルリンクの2つに大別できます。



産業用ロボットに用いるモータの種類

ここまで、産業用ロボット本体に関わる種類や構造などを解説してきましたが、搭載されているモータにも、様々な種類があります。主に用いられるモータは、“ブラシレスDCモータ”“ステッピングモータ”“サーボモータ”の3つです。


▼産業用ロボットに用いられるモータの種類

モータ名
特長

ブラシレスDCモータ

  • モータが小さく軽量
  • 放熱のしやすさから連続作業にも対応
  • 速度の制御範囲が広い

ステッピングモータ

  • 回転角度が調節可能
  • 指令パルスへの同期が可能
  • 比較的安価

サーボモータ

  • 高速かつ高精度
  • 精密さが求められる場面に有効
  • ステッピングモータよりも回転が滑らか


他にも、産業用ロボットに搭載されるモータは数多くあるため、用途に適した種類を選ぶ必要があります。

産業用モータの種類については、以下の記事でも詳しく解説しています。

【産業用モータの選び方】モータの種類と選定ポイントを紹介



まとめ

この記事では、産業用ロボットについて解説をしました。

  • 産業用ロボット
  • 産業用ロボットの主な種類
  • 産業用ロボットの構造

産業用ロボットは、人間が行う作業の代わりとして、工場における効率化を目的に使用するロボットです。駆動系とアーム系の2つに大別でき、さらに用途に応じた様々な種類が展開されています。

産業用ロボットに使われているモータは、用途に合ったものを選ぶ必要があります。

マブチモーターでは、多種多様なラインナップのブラシレスDCモータを取り扱っており、本記事で紹介した産業用ロボットだけでなく、医療機器や家電製品にも使用いただけます。

ご要望に合わせて最適な提案をいたしますので、是非お気軽にお問い合わせください。


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