ブラシレスモータの制御に使われるセンサについて解説
ブラシレスモータのフィードバック制御では、回転角度(回転位置)を検出するためのセンサが使われています。センサにはいくつかの種類があり、それぞれ特徴が異なるため、用途に応じてモータの性能を十分に活かすために、適切なセンサを選びたいところです。
そこで本記事では、ブラシレスモータの制御に使われるセンサの代表的なものとして、ホールIC、レゾルバ、ロータリエンコーダの特徴を解説します。
モータの制御に使われるセンサ
①ホールIC
ホールICは、ホール効果とよばれる電流磁気効果を利用した半導体素子である“ホール素子”に、信号変換のためのスイッチング回路を組み込んだ磁気センサです。半導体を使用しているため熱や振動への耐性は高くありませんが、価格帯が比較的安価なのがメリットです。
ホールICを搭載したマブチモーターの製品としては、『ISシリーズ』や『MSシリーズ』が挙げられます。
②レゾルバ
レゾルバは、二つのコイルを用いてロータの回転角度を検出するセンサです。鉄心とコイルのみのシンプルで丈夫な構造となっているため、熱や油、振動に強く、電気ノイズの影響も受けにくいのが強みです。ホールICよりも価格帯は上がりますが、角度分解能が高く、回転ムラの少ない精密な速度制御が可能です。
なお、マブチモーターでは、分解能15ビット相当のレゾルバセンサを搭載した『IR/MRシリーズ』を提供しています。
③ロータリエンコーダ
ブラシレスモータの制御に使われるロータリエンコーダには、主に光学式、磁気式、静電容量式の3種類があり、それぞれ特徴が異なります。
光学式は内部基板の構成が複雑なため、高温や振動といったハードな使用環境には弱いですが、精度の高い角度検出が可能です。
磁気式は、分解能が光学式よりも低く、高磁場では使用できないものの、安価かつ高温や振動に強いのが魅力です。
静電容量式は、他の2種に比べて価格帯は上がりますが、分解能が非常に高く、高磁場など厳しい環境下における使用耐性も強いのがメリットです。
▼ブラシレスモータの制御に使われるセンサの特徴
種類 |
ホールIC |
レゾルバ |
光学式エンコーダ |
磁気式エンコーダ(デジタル) |
静電容量式エンコーダ(デジタル) |
分解能 |
C |
B+ |
A+ |
A |
A |
耐環境性※ |
C |
A+ |
C |
A |
A |
価格 |
A+ |
A |
C |
B |
C |
※振動や衝撃、水分、油、汚れ等、厳しい環境下における使用耐性
それぞれ得意とする項目が異なるため、どのセンサが適切であるのかは使用するシーン次第で変化します。
マブチモーターの移動体用ブラシレスモータのセンサについて
マブチモーターの移動体用ブラシレスモータ『ISシリーズ』『MSシリーズ』にはホールICが搭載されており、『IR/MRシリーズ』には高分解能のレゾルバが搭載されています。
昨今は工場等の生産現場におけるAGV・AMRの導入が進み、屋外でも電動車いすや自動搬送ロボットが走行するシーンが増えており、移動体の進化に伴ってモータに求められる水準も高まっています。
レゾルバはホールICと比較して角度分解能が高く、ゼロ回転から精密な速度制御が可能なため、コースアウトを防止するなど、正確な制御を実現できます。また、モータ自体が防水仕様となっていることに加え、熱や油、埃、振動にも強いため、精密な制御と耐環境性との両立が求められる移動体には最適な選択肢となります。
厳しい環境下での使用や精密な制御が不要で、必要な機能をホールICでも満たせる場合は、IR/MRシリーズよりもリーズナブルな価格帯のIS/MSシリーズをおすすめしております。
用途に合わせて最適な製品をご提案しますので、是非お気軽にお問い合わせください。
まとめ
この記事では、ブラシレスモータの制御に使われるセンサについて以下を解説しました。
- モータの制御に使われるセンサの種類とその特徴
マブチモーターの移動体用ブラシレスモータのセンサについて
ブラシレスモータのフィードバック制御では、回転角度(回転位置)を検出するためのセンサが使われており、それにはいくつかの種類があります。それぞれ特徴が異なっており、用途に応じてモータの性能を十分に活かすために、適切なセンサを選ぶことが重要です。
マブチモーターでは、ホールICを搭載した『ISシリーズ』『MSシリーズ』、高分解能のレゾルバを搭載した『IR/MRシリーズ』を提供しています。購入の際は担当者がサポートいたしますので、初めて購入される方でも安心してご利用いただけます。
弊社の製品にご興味のある方は、お気軽にお問い合せください。