ギヤードモータとは? 使用例や減速機の種類を詳しく解説
モータと減速機が一体化したギヤードモータは、モータ単体以上の低回転化と高トルク化が可能なため、様々な現場で活用されています。ギヤードモータの導入は、モータの小型化や回転数の低減に貢献します。
ギヤードモータの減速機には多くの種類があるため、用途に合わせて適切なものを選ぶことが大切です。
そこで本記事では、ギヤードモータの概要や、減速機の種類について、詳しく解説いたします。
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- 1.ギヤードモータとは
- 2.ギヤードモータの使用例
- 3.ギヤードモータの減速機の種類
- 3.1.①平行軸減速機
- 3.2.②遊星歯車減速機
- 3.3.③直交軸系減速機(ウォーム・ハイポイド)
- 3.4.④サイクロイド減速機
- 3.5.⑤波動歯車減速機
- 4.ギヤードモータを導入する際の注意点
- 5.まとめ
ギヤードモータとは
ギヤードモータとは、モータと減速機を組み合わせて一体化した製品です。
従来は、モータの回転数を落としたい場合に、カップリング(継手)と呼ばれる部品を用いて、減速機と連結する方法が一般的でした。この方法では、モータと減速機、そしてカップリングを合わせたスペースが必要になるという課題がありました。
このスペースの問題を解決するために誕生したのが、ギヤードモータです。専用の減速機をモータに直結させることで、スペースの削減を実現します。
また、回転数を落とす方法には、減速機を用いる以外に、インバータを使用する方法もありますが、この方法では減速機を連結した場合と異なりトルクは上がりません。その点、ギヤードモータであれば減速機と一体化しているため、スペースを抑えつつ、低回転と高トルクを両立できます。
ギヤードモータの使用例
ギヤードモータは、大型のものから小型のものまで、幅広い機械に使用されるモータです。
▼ギヤードモータの使用例
- 食品加工機
- 立体駐車場
- 汎用コンベア
- 攪拌機
- 半導体製造装置
- 木工機械
- AGV(無人搬送車)・AMR(自律移動ロボット)
- パーソナルモビリティ
- パワーウィンドウ
- 農機(ミニ耕運機)
普段目にする機会の多い製品としては、電動シャッターや洗車機、パワーウィンドウ等があり、私たちの身近で活躍しています。
マブチモーターのギヤードモータは、AGV(無人搬送車)・AMR(自律移動ロボット)やパーソナルモビリティ、農機(ミニ耕運機)など、多くの導入事例があります。
ギヤードモータの減速機の種類
ギヤードモータの減速機部分には、様々な種類があり、それぞれ適している用途が異なります。減速機の違いを理解すれば、目的に応じた効果的なモータを選ぶことができます。
ここからは、ギヤードモータに採用されている、代表的な減速機を紹介します。
①平行軸減速機
平行軸減速機とは、平歯車の組み合わせで減速する、もっとも一般的な減速機です。設備機器との連結性に優れており、平面上での設置に適しています。
歯車の嚙み合わせ時の意図的なすき間である、バックラッシが大きめな点も特徴です。バックラッシが大きいと振動や騒音のほかに高精度な操作が困難となります。
②遊星歯車減速機
遊星歯車減速機は、太陽系とその周りを周回する惑星のような内部構造ををしています。
遊星歯車減速機の内部には、太陽歯車、遊星歯車、内歯車、遊星歯車キャリアの4つの部品が使われています。モータの動力により入力軸である太陽歯車が回転すると、遊星歯車が回転し、遊星歯車キャリアに固定された出力軸から減速された動力が伝達されます。
③直交軸系減速機(ウォーム・ハイポイド)
直交軸系減速機には、ウォーム減速機やハイポイド減速機などがあります。
ウォーム減速機とは、ねじ状のウォームと、はすば歯車(ヘリカルギア)の組み合わせで回転するウォームギアを用いた減速機です。一方でハイポイド減速機では、入力軸と出力軸がねじれの位置にある歯車 を使用しています。
④サイクロイド減速機
サイクロイド減速機とは、トロコイド曲線をもつ歯車を用いた減速機です。高効率と優れた耐衝撃性を実現しており、自動車のエンジンやロボットなど、高トルクが必要とされる場面で採用されています。
角のある歯車と比べて摩擦が少なく、高精度な操作が可能となる点や寿命が長い点も特徴です。
⑤波動歯車減速機
アメリカの発明家マッサーによって開発された波動歯車減速機は、金属の弾性力学を利用することで、速く精密な動きを可能にしています。波動歯車減速機は、一般的にウェーブ・ジェネレータ、フレクスプライン、サーキュラ・スプライン の3つの部品で構成されています。
波動歯車減速機には、バックラッシがないため、位置を決める精度が高く、制御性を求められるロボットの関節等に採用されています。
ギヤードモータを導入する際の注意点
初めてギヤードモータを導入する際に、気をつけておきたいポイントがあります。見落としがちな注意点を確認しておくことで、円滑な導入が可能になります。
①減速機のスペースを確保する必要がある
ギヤードモータには減速機が組み込まれているため、カップリングで直結する方法と比較して省スペースではあるものの、通常のモータよりも広いスペースを要します。
なお、「ギアドモータの変速機の種類」の項目で紹介したように、ギヤードモータには平行軸と直交軸含め複数のタイプがあり、それぞれ必要なスペースが異なります。
直交軸タイプはモータ部分の出力軸の方向と減速機部分の軸が直交しており、負荷軸に対してモータを直角に配置可能なため、スペースが限られている場面で役立ちます。
②屋外使用の機器には専用のモータを使用する
屋外で使用する機器にギヤードモータを採用する際は、専用のモータを選ばなければなりません。
屋内仕様のモータを使うと、モータ内に土埃や雨水等が侵入し、漏電や潤滑不良に陥る可能性が生じます。モータを使用する環境に合わせて、防塵・防水仕様のモータを導入したり、モータにカバーを設置したりと、対策が不可欠です。
まとめ
この記事では、ギヤードモータについて以下を解説しました。
- ギヤードモータとは
- ギヤードモータの使用例
- ギヤードモータの減速機の種類
- ギヤードモータを導入する際の注意点
ギヤードモータは、スペースを抑えつつ、低回転と高トルクを両立させたいときに重宝します。減速機部分には様々な種類があるため、それぞれの特性を理解して、目的に合った製品を選ぶことが重要です。
AGV(無人搬送車)・AMR(自律移動ロボット)やパーソナルモビリティには、マブチモーターのMSシリーズ、MRシリーズがおすすめです。モータを購入する際は担当者がサポートいたしますので、初めての方でも安心してご利用いただけます。
弊社の製品にご興味のある方は、お気軽にお問い合せください。