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小型モータの用途・主な種類を紹介

モータの小型化は、モータを搭載する製品の小型化に貢献します。モータは製品の中で重要な役割を担っていますが、小型モータの具体的な性能や詳しい用途をご存じでない方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、小型モータの種類や各用途における小型モータのメリット等を詳しく解説します。


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  1. 1.小型モータの定義
  2. 2.小型モータの用途
    1. 2.1.サービスロボット
    2. 2.2.医療機器
    3. 2.3.空調機器
    4. 2.4.掃除機(バキュームクリーナー)
  3. 3.各モータのサンプル
    1. 3.1.DCモータ
    2. 3.2.ブラシレスDCモータ
    3. 3.3.ステッピングモータ
    4. 3.4.シンクロナスモータ
    5. 3.5.インダクションモータ
  4. 4.マブチモーターの小型ブラシレスDCモータのご紹介
    1. 4.1.IS-94BZC
    2. 4.2.IS-27NZA
    3. 4.3.ID-659ZA
    4. 4.4.IR-94BZA
  5. 5.まとめ


小型モータの定義

一般に、モータの中でも、出力100W以下のものを「小型モータ」と呼び、同3W以下のものを「超小型モータ」と呼ぶこともあります。

近年は技術の発展により、100Wを上回る高出力を小さなサイズで実現しているモータもあり、これらを小型モータと呼ぶケースもあるため、定義は明確ではありません。



小型モータの用途

ここでは、小型モータの用途と、それぞれの用途で小型モータを採用するメリットを解説します。


サービスロボット

小型モータの用途としてまず挙げられるのは、医療用ロボットや掃除用ロボットをはじめとする様々な目的で利用されるサービスロボットの可動部です。
ロボットの関節や回転部等に小型モータが活用されています。

複数の関節を持つロボットでは、関節の数と同数のモータが必要です。各関節に小型モータを採用することにより、ロボットの小型・軽量化が可能となります。

なお、小型モータは産業用ロボットでも導入されています。産業用ロボットの構造や使用されるモータの種類については、こちらの記事をご覧ください。

産業用ロボットとは? 主な種類や構造を解説


医療機器

小型モータは、医療機器用途でも活用が進んでいます。

例えば外科手術用ロボットのアームに小型モータを採用することで、医師の手が届きにくい部位でも、繊細な動きを実現可能です。また、人工透析装置や輸液ポンプは、院内における運搬の手間を軽減するために小型化が課題となっていますが、小型モータを採用することで、その課題を解消できます。

他にも、人工呼吸器の吸入のタイミング・量を調整するためのシステム、歯科治療用ハンドピースや外科手術用パワーツールの回転部位に小型モータが使用されています。


空調機器

住居用・業務用問わず、空調機器でも小型モータが活躍しています。

一般的なルームエアコンでは、コンプレッサーや送風ファン等の可動部に小型モータが使われています。また大型施設の空調設備では、天井裏に風量調整用のダクトが通っており、火災発生時にこのダクトを開閉するアクチュエータにも小型モータが使われています。

小型モータは低コストで長寿命なため、携帯電話基地局のように無人でメンテナンス頻度の低い空調設備でも重宝されています。


掃除機(バキュームクリーナー)

小型モータは、掃除機をはじめとする家電製品の小型化にも一役買っています。

回転効率の高い小型モータを掃除機の駆動ユニットに採用することで、高出力と使いやすさの両立が可能です。また、スティック型やキャニスター型の掃除機だけでなく、ロボット掃除機の車輪や回転ブラシ、吸引機構にも小型モータが使われています。



各モータのサンプル

小型モータには様々な種類があります。ここでは代表的な5種類のモータを紹介します。


▼小型モータの比較表

モータの種類

トルク

回転速度

寿命

価格

ブラシ付DCモータ

中~高速でのトルクが比較的大きい

数千rpm程度まで

数百~数千時間

ブラシレスDCモータ

中~高速でのトルクが比較的大きい

数千~数万rpmまで

数万~数十万時間

ステッピングモータ

比較的大きく、特に低速時のトルクが大きい

数千rpm程度まで

数万時間

シンクロナスモータ

周波数に同期する

60~1,800rpm程度

3,000時間程度

インダクションモータ

低回転時にトルクが小さくなる

300~1,500rpm程度

30,000時間程度



◎:安価 〇:比較的安価 △:高価


DCモータ

DCモータは、直流(Direct Current)モータとも呼ばれ、コイルによる回転子と磁石による固定子で構成されています。コイル先端の整流子が、固定子のブラシと接触する際に電気が流れて回転する仕組みになっています。

電流が一定方向に流れており、構造が単純であるため、回転特性が安定しているのが大きな特長です。また、低価格で導入しやすいというメリットもあります。

一方でデメリットとしては、整流子がブラシとの接触によって摩耗していくため、寿命が比較的短いという点が挙げられます。


ブラシレスDCモータ

回転子に永久磁石を用いることで、ブラシと整流子をなくし、DCモータの短所を克服したものがブラシレスDCモータです。DCモータよりも長寿命であることに加え、ブラシの摩擦による電気的ノイズが発生しないため、静音性の高さも実現しています。

モータ駆動専用の制御回路を別途用意する必要があるため、DCモータと比較するとトータルコストは高くなるものの、精密な制御が可能となります。


ステッピングモータ

ステッピングモータは、電源のON・OFFを繰り返す「パルス信号」によって回転角度と回転速度が制御されているモータです。位置制御性に優れており、また低速域におけるトルクが大きいという利点があります。

なお、利用には専用の制御回路が必要となります。


シンクロナスモータ

DCモータと異なり、交流電流によって回転するのがシンクロナスモータです。電源周波数に同期(Synchronous:シンクロナス)して回転するためこのように呼ばれています。

低速に特化しており、電圧が変化しても回転速度が変わらないため、低速で一定の速度を保ちたい場合に向いています。


インダクションモータ

シンクロナスモータと同様に、交流電流で回転するモータです。構造が単純なためメンテナンスがしやすくコストも安いのが特長です。



マブチモーターの小型ブラシレスDCモータのご紹介

ここまで5種類の小型モータを紹介いたしました。その中でも寿命が長く高速回転が可能なモータである、ブラシレスDCモータの当社製品ラインナップの一部を紹介いたします。


IS-94BZC

IS-94BZCは、ホールICと温度センサを搭載した“ISシリーズ”の製品です。定格出力250W、瞬間最大出力410Wをコンパクトなモータサイズで実現しています。

また防水性能IPX4を有しており、アシスト自転車や自律移動ロボット、無人搬送車、パワーアシストロボット等などといった民生機器から産業機器まで幅広い用途でご使用いただけます。


IS-27NZA

IS-27NZAは、ISシリーズのなかでも医療機器への使用に特化した製品です。整形外科用のパワーツールや脳外科用・耳鼻咽喉科用のハイスピードドリルなど、高精度かつ静音性が求められる手術用の医療機器にご活用いただくことができます。


オプションにてオートクレーブ対応と、ギア付ユニットの提供も可能です。


ID-659ZA

ID-659ZAは、バキュームクリーナー用に特化したブラシレスDCモータです。回転数を調整できる駆動回路を内蔵しており、長時間のバッテリー持続を実現しています。

また、焼損保護付対応も可能です。


IR-94BZA

IR-94BZAは、レゾルバセンサを搭載した“IRシリーズ”の製品です。定格出力355W、瞬間最大出力710Wをコンパクトなモータサイズで実現しています。低速域での安定した走行が可能なため、主に倉庫や工場内を走行するAGV・AMR等の駆動部分で活用されています。

また、ISシリーズと同様に防水性能IPX4を有しているため、水濡れが想定される場面でも使用できます。



まとめ

この記事では、小型モータについて解説をしました。

  • 小型モータの定義
  • 小型モータの用途
  • 小型モータの種類

小型モータを、サービスロボットや医療機器に活用いただくことで、製品の小型化や利便性の向上に繋がります。なお、小型モータは種類ごとに特性が異なるため、用途に合ったものを選ぶ必要があります。

マブチモーターでは、ブラシレスDCモータをはじめ、小型・軽量かつ高効率なモータを多数取り扱っております。

当社は安定供給を強みとしていることに加え、モータの選定から購入後のフォローに至るまで担当者が一貫してサポートいたしますので、初めての方でも安心してご利用いただけます。

当社の製品にご興味のある方は、是非お気軽にお問い合わせください。


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