中空フレームレスモータの活用方法

中空フレームレスモータの活用方法

中空フレームレスモータは、機構の省スペース化や自由度の高い設計を実現できるのが魅力ですが、通常のモータとは形状が異なるため、周辺機器の選定や固定方法が課題となり、なかなか採用に踏み切れない方もいらっしゃるかもしれません。

 

そこで本記事では、中空フレームレスモータの活用方法に関するお悩みを解消し、スムーズに活用いただくためのお手伝いをいたします。

中空フレームレスモータとは

モータの中心部分に貫通穴が開いている中空モータの中でも、ステータとロータのみで構成されるタイプのものは中空フレームレスモータと呼ばれ、協調ロボットの関節部分やビルトイン構造の機器に活用されています。

 

装置に複数のモータや周辺機器を使用する際は、ケーブル等の効率的な配置が設計のポイントとなります。中空フレームレスモータはその構造上、貫通穴の部分に配線が可能なため、限られたスペースを有効活用できます。

 

関連記事:『中空モータとは? 主なメリットや用途を解説

 

活用における課題

中空フレームレスモータの活用でよくある課題として、以下の2点が挙げられます。


 課題①ドライバやセンサ、減速機といった周辺機器の選び方が分からない
 課題②固定方法が分からない


これらのお悩みの解決方法について解説します。

 

課題①ドライバやセンサ、減速機といった周辺機器の選び方が分からない

中空フレームレスモータはブラシレスモータの一種であるため、使用にあたっては駆動回路であるドライバが必要となります。

 

また、中心に貫通穴がある構造となっていることから、センサや減速機もその構造に適した物を選ばなければなりません。ここでは、各周辺機器の選定のポイントについて解説します。

 

ドライバ選定について

中空フレームレスモータのドライバは、「EtherCAT通信ドライバ」を選ぶのが主流です。「EtherCAT通信ドライバ」は通信速度や応答性が非常に高く、高速かつ高精度な同期制御が可能です。

 

特に中空フレームレスモータの代表的用途である協調ロボットでは、細かな位置決めや回転速度コントロール等、精密な制御が求められることが多いため、EtherCAT通信に対応したドライバをご使用いただくのがおすすめです。 

 

センサ選定について

回転角度検出用のセンサをモータに取り付けるにあたり、センサも中空タイプのものを選ぶ必要があります。通常のモータ向けのものに比べて流通している製品数が少ないため選択肢は限られますが、搭載製品の用途や使用環境に応じて最適なものを選びたいところです。

 

ここでは代表的なセンサとして、光学式、磁気式、静電容量式の3種のエンコーダに加え、同じく回転角度検出に使用されるレゾルバの特徴を下表にてご紹介しておりますので、選定にご活用ください。

 

▼中空フレームレスモータの制御に使われるセンサの特徴 

種類

光学式エンコーダ

磁気式エンコーダ

静電容量式エンコーダ

レゾルバ

分解能

A+
最高23bit
非常に高い

A
最高19bit
高い

A
最高19bit
高い

B+
最高15bit
比較的高い

耐環境性※

C
低い

C
低い

A
高い

A+
非常に高い

価格

C
高価

B
比較的高価

C
高価

A
安価

取り付けやすさ

C
難しい

A
容易

A
容易

B
やや難しい

※振動や衝撃、水分、油、汚れ等、厳しい環境下における使用耐性  

 

減速機選定について

中空フレームレスモータを活用するには、中空構造の減速機も不可欠です。減速機には様々なタイプがあり、目的に応じて最適なものを選ぶ必要があります。

 

例えば、高重量の物を持ち上げる機構に使うのであれば、高トルクに耐えられる厚めの減速機を、トルク耐性よりも機体の軽量化が優先される場合は薄型設計の減速機を使用するのがおすすめです。

 

課題②固定方法が分からない

中空フレームレスモータは、その名の通りフレームが無いため、通常のモータに比べて自由度の高い設計が可能な一方で、ハウジング(筐体)へのステータの固定方法が課題になることがあります。

 

ここでは、代表的な固定方法を3パターン紹介します。

  1. ステータをハウジングとエンドベルの締結力(ボルト締め)で固定
  2. ステータをハウジングに接着剤で固定
  3. ステータをハウジングに焼き嵌めで固定

 

1.ステータをハウジングとエンドベルの締結力(ボルト締め)で固定

img02

ハウジングにステータを取り付けた後、ハウジングにエンドベルを取り付け、ボルトで締め付けて固定します。焼き嵌めほどの固定力は無いものの、必要に応じて分解も容易なのがボルト締め固定のメリットです。

試作品や、定期的に分解点検が必要な機械を製作する場合は、ボルト締め固定がおすすめです。

 

2.ステータをハウジングに接着剤で固定

img03

ステータの外周面に接着剤を均等に塗布した後、ハウジングにステータを取り付け、不要な接着剤を拭き取ります。固定に必要な強度を満たせるように、適切な接着剤と嵌めあい公差を選定するのがポイントです。

 

焼き嵌めほどの固定力はありませんが、比較的簡単で工数の少ない固定方法です。固定部分にそれほど大きな負荷がかからない用途の場合は、接着剤固定がおすすめです。

 

3.ハウジングに焼き嵌めで固定

img04

焼き嵌めの前に、ハウジングがトルクに応じた厚さを確保していること、焼き嵌め固定に適切な表面粗さであることを確認します。高周波コイル等を使用し、ハウジングを焼き嵌め設計温度になるまで加熱後、ステータを取り付けます。

 

接着剤よりも手間はかかりますが、非常に強い固定力が得られるのが焼き嵌め固定のメリットです。ハウジングに耐熱性があり、高い固定強度を確保したい場合は、焼き嵌め固定がおすすめです。

 

より詳しい内容については、中空フレームレスモータの取扱説明書をご覧ください。

 

マブチモーターの中空フレームレスモータ

マブチモーターでは、中空フレームレスモータである『IA/IBシリーズ』を提供しています。小型・軽量かつ省エネルギー設計となっていることに加え、低コギング設計により滑らかな回転が可能なのが特長です。

 

出力の異なる4種のサイズをラインナップしており、製品の構造やサイズ等に合わせてお選びいただけます。

 

まとめ

この記事では、中空フレームレスモータについて以下を解説しました。

 

  • 中空フレームレスモータの活用方法
  • 中空フレームレスモータとは
  • 中空フレームレスモータの活用における課題

  • マブチモーターの中空フレームレスモータ

 

中空フレームレスモータは、機構の省スペース化や自由度の高い設計を実現できるのが魅力ですが、通常のモータとは形状が異なるため活用方法を正しく把握することが大切です。

まずは中空フレームレスモータの活用には、適切なドライバやセンサ、減速機等の周辺機器の用意が必要です。

また、フレームが無いため、ハウジングへの固定方法もエンドベルの締結力による固定(ボルト締め)や接着剤、焼き嵌め等から適切なものを選びましょう。

マブチモーターでは、中空フレームレスモータの『IA/IBシリーズ』を提供しています。購入の際は担当者がサポートいたしますので、初めて購入される方でも安心してご利用いただけます。

弊社の製品にご興味のある方は、お気軽にお問い合せください。

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